渋谷乙
渋谷乙でライブだった。
長い一日だった。
それでは振り返ってみよう。
※「」内のセリフは誰が言ったのかを想像しながら読んでね。
向かう車内、殺人餃子について語らいながら。
「今日こそはカニ炒飯を食べに行こう!」と意気込む我々であった。
車は高速道路を降り明治通りを走っていた。
「久々に原宿いきてーなー。」
「オレもヘッ●ポーターいきたいとおもっていたのだよ。」
「ではリハを終えたら原宿に行こう。」
定刻通り会場入りしリハを済ませた。
「飯いくか。」
「でも【ジュク】(原宿のことらしい。)いくんだろ。カニ炒飯屋だと駅の向こうがわになるから逆方向だな。」
「じゃあ今日はそこで見つけたタン麺屋にしよう。」
というわけで今回もカニ炒飯にたどり着くことはなかった。
そしてこのタン麺屋はかなりの発汗作用をもっていたことを付け加えておこう。
空腹も満たしJRに乗車。
渋谷から一駅。
原宿へついた。
若干道に迷いながらも我々の目指したカバン屋【ヘッドポ●ター】に到着。
しかし店内改装の為休業中というオチ。
「オレの原宿は終わった。」
「じゃあオレ表参道ヒルズでウォシュレットしてくるわ。」
「あ、オレもでそうだ。」
「じゃあ、先に乙に戻るよ。」
こうして我々のドキドキ原宿探検は誰一人としてタレント事務所にスカウトされるもともなく終了。
そして迎えた2008年2本目のライブ。
いつもと変わらず暖かく迎えてもらった。
帰路。
再び明治通りを走っていた。
赤信号で停車すると背後から忍び寄る人影が。
「ナンバー灯が暗いんだけど、ちょっとそこに車寄せてとめてくれるー。」
出た。
ノンキャリだ。
しかもタメ口だ。
しかも4人で徒党を組んで来た。
外へ出てナンバー灯を確認したがちっとも暗くないじゃないか。
そして始まる善良な市民に対する横柄な職務質問。
ノンキャリは推定50歳。
「念のためトランク開けてみてー。」
オレはいうとおりに車内を開けてみせた。
「バンドやってんだー。有名なの?」
まったくの愚問を投げかけてきたので
「明日のミュージックステーションみてよ。」
と答えたんだ。
ふと見ると残り3人のノンキャリは運転席側から車内を覗き込んでいた。
中には助手席で飲酒真っ最中の哲郎と後部座席で半落ちのFxKxD。
車外に出た私にはそこでどんな会話が展開されているのかを伺い知ることは困難だった。
私に対する質問はつづいた。
「君 良い臭いがするね。覚醒剤持ってんじゃないの?持ってるなら持ってるって言ってね。」
そんなバカな。
芳香剤の臭いに決まってるじゃないか。
我々はタバコだって吸わないのに。
だいたい覚醒剤って良いにおいするのか?
「バンドマンはだいたいそういうの持ってんだよね。」
でた。
もの凄い偏見。
大阪人はみんな面白い!に匹敵する。
ステレオタイプとはこのことだ。
「ところで君いくつ。」とノンキャリ。
「来月で30になるよ。」オレは答えた。
「へー。じゃあ、そろそろヒトヤマあてないとバンドも大変だろ。」
でた。
最強に余計なお世話。
思春期の男子中学生の部屋を掃除する母親に匹敵する。
「そうなんだよ。だからさCD買ってよ。4人で一枚でもいいから。」
オレは食いついた。
しかし奴らが財布の紐を緩めることはなかった。
そんなやりとりの末、ようやく開放され税金だけでなく時間まで泥棒された気分で関越自動車道へ。
そんな気分だったので本庄児玉ICの料金所のオヤジにある質問をしてみた。
「高速道路はいつになったら無料になるの?」
「この時間だとETCつければ半額だよ。」
どうやら彼にはオレの質問が良く聞こえなかったらしい。
こうして20代最後のライブは幕を閉じた。
■T2LOWとFxKxDとGIANT